《在宅介護》認知症と診断されるまで~見過ごした症状とその時の家族~
はじめに
人は物忘れをしてしまうことがあります。
それは、年齢に関係なく起こりますが、年齢を重ねていくことで増える傾向にもあります。
母もそうであったと思いますが、二世帯住宅といえど隣の家に住んでいると意外にそれぞれの生活の様子はわからないもので、見ようとしなければ見えないことも沢山あるのです。
「もしかしたら?」と思ったときに対処できたならよかったのかもしれない。けれど、日々の生活に追われるなかで、特に金銭的な問題が絡んでしまうと動きがにぶってしまいがちになります。
「備えあれば憂いなし」
介護においてはこれが難しいことだと実感してしまいます・・・
家族が認知症と認識したときとは?
『あれ?もしかしたら認知症かな・・』と思った瞬間とは
- 仕事を覚えられないという理由で仕事をすぐに辞めてしまう
- 新しい事や人とのかかわりを嫌がる
- いつも見ていたテレビ番組を見なくなり、つまらないといいながらテレビをつけっぱなし状態にしてただながめている
- 探し物が増え、泥棒が入ったと主張する
認知症かどうかという判断は、あくまでも医師の診察によって決まるものだと思いますが、診察につれていこうと判断する時点は正直なところ難しいと思います。
なぜなら、認知症を受け入れようとする気持ちと否定する気持ちが一体となってしまっているからなんです。
結果的に見当識障害、つまりどこに行こうとしているか分からなくなって一時的に帰宅できなくなってしまったことがきっかけで、診察を受けることになりました。
これが、本人と家族が認知症と認識した時点でした。
認知症を見過ごしてしまった理由
『もしかしたら認知症かも?』と思う瞬間は数年前からありました。もちろん人によってこの期間は異なると思います。
忙しさに追われて家族の症状を見過ごしてしまうことや、否定したい気持ちがそうさせてしまこともあると思います。
離れて暮らしていれば、なおさではないでしょうか。
ただ、それとは別に『考えすぎかな?』と思わせてしまうことがあるのも事実です。
見過ごしポイント① 仕事が覚えられないという理由で仕事をすぐに辞めてしまうことについて
母は、もともと転職をすることが多っかたものの、働かないということはありませんでした。
60代頃からは訪問介護の仕事をしていたのですが、いつの頃からか『道が覚えられない😢』という悩みを口にするようになりました。
社用車にはカーナビが付いているとは限らず、方向音痴なところもあったので何件も知らないお宅へ行くのは大変なんだろうと思っていました。
『もしかしたら?』と思う要素は『短期間で退職してしまう』という部分だけでした。
そして、『介護職は重労働で年齢的に厳しいのかもしれない』という考えがすべてを打ち消してしまいました。
見過ごしポイント② 新しい事や人とのかかわりを嫌がる
年齢に関係なく新しいことを始めたり、人とかかわることはなかなか大変なことだと思います。
しかし、母は好奇心旺盛なタイプでした。そして社交的とはいえなかったものの、職場の方達とたまに食事をしたり、1年に数回は旧友と出かけたりすることもありました。
そんな母でしたが、ある時期から家にこもりがちになってしまい
『たまには誰かと食事でもしてきたら?』
と言ってみることもありましたが、
『なんか億劫だからいいや』
という返事が返ってくるように。
「指の運動」といってたまに出かけていたパチンコでさえ行かなくなっていました。
『もしかしたら?』と思う要素は『家にこもっている』という部分でしたが、仕事が定まらず落ち込んでいたり金銭面を気にしている可能性もあったので、家にこもっていることを気にしないようにしていました。
見過ごしポイント③ いつも見ていたテレビ番組を見なくなり、つまらないといいながらテレビをつけっぱなし状態にしてただながめている
『最近、何の番組をみても本当につまらない!』
いつもそういいながら、テレビをつけてずっと眺めている様子が見受けられました。
母は時代劇が大好きで、早朝や夕方などに時代劇が放映されていると楽しそうにみていました。
特に、松平健さんが大好きで
『いい男だね~』
なんて話していたのですが、いつの頃からか全く関心がなくなってしまいました。
『もしかしたら?』と思う要素は『基本的には見たい番組がないとテレビは消すタイプなのにつけっぱなしにしている』ということと『好きな俳優や番組に全く興味がなくなった』ということでしたが、仕事に行かないと不規則な生活になりがちで、やることもないからとりあえずテレビをつけているのだろうと考えていました。
見過ごしポイント④ 探し物が増え、泥棒が入ったと主張する
母は整理整頓が得意な人でした。
頻繁に物の入れ替えをするようになっていたことには気がついていましたが、時間があるときに色々と片付けたくなったのだろうと思っていました。
そんなある日、
『ネックレスなどの貴金属がなくなってる!あんた知らない?』
と言い出したんです。
もちろん、マミーは知るはずもなく困惑状態に。
『泥棒かもしれない、貴金属だけじゃ記念硬貨もない!」
という母を信じたい気持ちはあったものの、認知症を疑った瞬間でもありました。
一緒にさがしてみたものの、なくなった物の写真があるわけではなかったので結局わからずに終わりました。
もちろん主人にも相談しましたが、散々迷った結果警察に通報することに。
『なぜそうしたのか?』
それは、前に住むお宅が空き巣に入られたばかりだったことと、近所にある交番の前のお宅でも空き巣に入られていて、近隣が物騒な状態になっていたという事実があったからなんです。
そしてもう一つの理由として、マミーの兄の存在があったからなんです。
兄は、母の家にたまに来ては泊まっていました。ギャンブルも少しやっていた様子だったので、疑わしい要素は多分にありました。
結果的には「外部からの侵入は確認できない」といわれ、『もしかしたら?』という感覚ではなく母の認知症の疑いが濃厚になってはいましたが、兄の件もありそのままになってしまったのです。
認知症と診断された日
まるで何事もなかったかのように、毎日が過ぎていきました。
母は車の運転もしていたので、子供たちの送迎をお願いしていました。
あるとき、
「まだ迎えにこれないの?」
と習い事先にいる子供から電話がありました。
「おばあちゃんが1時間前位に迎えに出てるはずなんだけど・・・」
慌ててマミーが子供を迎えに行き、母の帰りを待つことに。
数時間後に帰宅した母が泣きながらマミーに伝えてきたのは
『どこに行こうとしていたのか分からなくなってしまって・・・』
ということでした。
これは見当識障害というらしく、翌日病院に行き認知症という診断をうけました。
『やっぱり…』という気持ちと、『これからどうしたらいいのだろう?』という気持ちで頭がいっぱいで、具体的なことを考えられずにいました。
在宅介護における問題点とは?
「ボケたら施設に行くから大丈夫!」とか「家族で介護するから安心して!」など、元気な時に一度は家族で話したりしたことはありませんか?
話したことがなかったとしても、高齢のご家族がいればの心配をしたことはあるのではないでしょうか。
マミーの家族も何度となく話してはいましたが、具体的なことは全く話していませんでした。
『何とかなる・・』
そう高をくくっていました。
- 金銭的問題
- 人為的問題
金銭的問題
①生活費問題
2世帯住宅で住んでいたものの生計は別だったので、住居費等を母が自分で支払っていました。これを誰が維持していくかという問題になりました。
2世帯住宅を建てる際に母から聞いていた年金支給予定額は15万円前後はあるということだったのですが、実際確認をしてみたら7万円に満たない状態でローンなどを支払える状態ではありませんでした。
また、仕事が続かなくなってからは貯金を下ろして生活をしていたらしく預貯金もほぼゼロとなっていました。
これは一人暮らしをされている方にも当てはまる内容だと思います。
特に家族と距離的な隔たりがある場合、支払いが滞っているだけでなく、手元にお金がないために食事などをとれていない可能性も考えられますので、直接様子を見に行くなどして経済状態の確認することをおすすめします。
※電話などの場合、心配をさせまいとして嘘をついてしまうことも考えられますので、直接お会いすることをおすすめします。
②介護施設利用の際に発生する費用負担問題
マミーも、母が認知症と分かった時点で地域包括支援センターに相談して介護認定の申請をしましたが、認定を受けたからといってデイサービスや訪問介護費用が無料になるというわけではありません。これを誰が負担していくか?という問題になりました。
施設への入所を考えた場合、費用が抑えられている特別養護老人ホームの入所基準は要介護3以上となっています(詳細につきましては各自治体にお問い合わせください)。また非常に人気があるため全国で20万人以上の人が待機状態となっているとか・・・
別の場所への入所を考えた場合で、要支援1~要介護2の状態で施設の入所をするとなると、相場が10~30万円ということで検討する余地もなく在宅介護をすることに・・・。
要介護度の違いによって、利用できる上限額やサービス料金が異なります。
例えば、デイサービス(通所介護)やショートステイ(短期入所生活介護)などは、要介護度が高いほど1回あたりの利用料金が高く設定されています。
要介護度とは?
心身の障害によりどれくらい介護や支援が必要か示す指標です。
区分は軽い順に
- 要支援1…基本動作は出来るが日常的な活動について見守りが必要
- 要支援2…立ち上げりや歩行が不安定で支援が必要
- 要介護1…日常的な活動などの一部に介助が必要
- 要介護2…認知機能の低下がみられ、歩行や着替えなどに介助が必要
- 要介護3…車いすの利用が増え、排せつ・食事などの動作に介助が必要
- 要介護4…介護なしでは日常生活を送ることが難しい状態
- 要介護5…寝たきりで全面的な介助が必要
と計8段階になっていて、数字が大きいほど必要な介護量が増えることを意味します
③母が所有している預貯金・不動産等をどう相続するのか
話し合っても解決しなかったこの問題。
どんなに散財しようと、どんなに問題を起こそうと息子は息子という考えの母。義理の息子として色々と助けてくれた主人に対しては全く配慮がないまま話は平行線に。
今後かかるであろう介護費用・葬儀費用あるいは相続についてその費用負担や方法を考えなくてはなりませんが、介護費用についてはご本人に負担してもらいたい場合もあるはずです。
認知症と診断されたからといって、すぐに口座が凍結されたりするわけではありませんので、本人の尊厳をまもりつつ資産や今後かかる費用を整理し、身体的・時間的な役割分担がどのくらいが必要かを検討したうえで話し合うことをおすすめします。
認知症と診断された瞬間に、口座が自動的に凍結されるわけではありません。金融機関が、本人の意思や、取引の内容を理解する力を確認できないと判断したと気に、払い戻しなどが制限されます。
司法書士法人ミラシア ~認知症による口座凍結から親のお金を守る方法~
ただし、とてもデリケートな問題ですので一歩間違えば家族崩壊につながることもあります。
また、病状の進行状況もひとによって異なりますので最優先事項として具体的な手続きはすすめていきましょう。
兄との決別
認知症の状態が次第に悪化し、昼夜問わず徘徊行動が増え始めてしまいましたが、それでもマミーはパートを続けていていました。
それは介護費用だけでなく子供の教育費なども必要だったのでを辞めるという選択肢がなかったからです。
マミーの精神状態も不安定になってきたときに、施設入所のための費用を一部負担してもらえないか兄に相談したところ『なんであんな奴のために俺が金を払うんだ!』と猛反発。
別人になったのかと思うくらいに物凄い剣幕で怒り出し、それ以降音信普通に。住んでいるところさえわからない状態になりました。
これが兄との決別の瞬間です。
感情的な話し合いは決していい結果を生みませんので、デリケートな内容として意識していただいた方がよいかもしれません。
この時期にあると便利な介護用品とは?
①イチオシは何といっても『GPS』です!
またいつ、行きたい場所が分からなくなったり家に帰れなくなったりするかわかりませんし、母は30キロも離れた場所に自転車で行ってしまったこともあるんです。
歩きであっても10キロ程度は移動してしまいます💦
こうなると、探すことはほぼ不可能なんです。
それを回避するためにGPS↓↓↓が有効なんです!
本人が持ったりお財布に入れたりするタイプもありますが、認知症が進行するにつれて何も持たず、上着も着ずに出ていってしまうこともあります。
本人が気になって取り出さない場所がよいので、『靴のインソール』や洋服に内側ポケットなどを付けてあげられるとよいのですが、大変な作業になってしまうので『キーホルダータイプ』のものをズボンベルトにつけてあげたり、内側の商品タグなどに付けてあげるとよいかもしれません(寝るときに邪魔にならない位置がよいと思います)。
ご本人には「いつでも行ってあげられるからね」とか「安心のためにもっていてね」と伝えてあげると反発心も少なく受け入れてくれるのではないでしょうか。
②介護用シューズ
靴がだんだんと履けなくなってきて、サンダルなどをはいてフラフラとお出かけしてしまうことも増えてきますが、転んでしまう危険性も高くなります。
そこで、あると便利なのが介護専用シューズ。
「ハンズフリーシューズは?」と思った方もいると思いますが、自分では履きやすくても、「履かせる」のはちょっと難しいんです。
足先を広げてはくタイプの靴↓↓↓の方がスムーズにはかせてあげられます。
認知症と分かったらどうすればいいのか
- もしかしたら?と思った時点で専門医に受診してみましょう。そして、家族全員で認知症への理解を深めるようにしていきましょう。
- 認知症と診断された場合には、医師に治療や投薬についての方針を確認しておきましょう。そして地域包括支援センターへ連絡し、今後の生活や介護についてのアドバイスを受け、要介護認定の申請手続きを行いましょう。
- 家族間の協力は欠かせませんので、情報の共有をするようにしましょう。家族の協力を得られない場合には、一人では抱え込まず地域包括支援センターへの相談やデイサービスの利用などをするようにしましょう。
- 預貯金の管理・不動産の扱い・相続について検討しましょう



